東北工業大学の
地域における実践的活動
「第三生産技術研究室」設置の歴史
「第三生産技術研究室」設置
第三生産技術研究室は、工業意匠学科学科長として着任した秋岡芳夫の提案で工業意匠学科内に1978年4月に設置されました。第三生産方式は、里もの生産方式・コミュニティ生産方式で、素材は土地のモノ、技術は土地柄あり、流通は土地及び周辺としている。なお、第一生産方式は企業生産方式、第二生産方式は地場産業生産方式を言います。
研究室では、「コミュニティ機能再生・増幅のための「裏作工芸」の実践的研究―東北を事例として」をテーマに、時松辰夫(工芸・デザイン)の木工技術指導のもと岩手県大野村(現洋野町)で実践活動。木工教室を開講し、地域の赤松材を活用した木の学校給食器づくりを実現や地域の交流拠点となる大野村産業デザインセンターを提案。北海道置戸町では、地域の未利用材のとど松やえぞ松を活用した「白い器オケクラフト」を提案。宮城県では、津山町で「津山町工芸コミュニティ調査」を実施し、矢羽集成材による商品化を行った。研究室の代表は、山下三郎(工業デザイン)や舛岡和夫(建築史・意匠)に引き継がれ、「秋保工芸の里」の計画・建設の実現、「山元町総合計画策定と具現化」、「二戸広域産業振興」、「東北・北海道の産品流通計画(HOCCO計画)」等の地域自律を目指した実践的研究に取り組んだ。
当該研究室は、地域活性化のための、企業誘致や箱ものなどハードを優先した地域産業の振興ではなく、人づくり、モノづくりなど時間はかかるがソフト優先の全く逆の方式で活動してきた。この実践的活動は、地域活性化に向けた活動において今日でも学ぶべきところが数多くあると思います。
秋保工芸の里
東北工業大学紀要 昭和61年3月
「間伐材等小径木の活用による製品開発」より抜粋